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ピアニシモに何とも言えない魅力が出てきました
ピアニシモに何とも言えない魅力が出てきました
今日は昨年の暮れにご注文を頂いていた「ナイアガラ」と「サウンド・ステーション」の納品で山口県徳山にやってまいりました。
そのY.IさんのN802、それは見事な鳴り方をしておりました。
「カイザーゲージ」を参考に、数え切れないほどスピーカーを動かして見つけ出したポイントだそうです。
それでもご本人曰く、『エネルギーがもう少し前面に出てくれたら申し分ないのに・・・』と仰る。
なるほど、言われてみればその通り、それさえ出せればパーフェクトです。
でも、そんな音を出されたら私の出番が無くなってしまいます。
結論から言ってしまいますと、
それは角度に問題があるようです。
すなわち内振りが過ぎるのです。
理想は部屋全体の空気が最初の一突きで動かされるべきなのですが、
早めにぶつけるが故に、部屋の空気の一部は反射波に頼って動かさなければならなくなるのです。
それがエネルギー不足の原因です。
リスナーの前で両スピーカーのセンター軸を結ぶようにセッティングした場合にこれは起こります。
過去には私も長い間この方式で聴いていましたが、今ではほんの少し内に振るぐらいです。
もう一つ気になった点は、スピーカーの外側に広がる音が無い事です。
これはLとRのスピーカーを入れ替えてやりさえすれば解決する事ですから何の問題もありません。
右に適した物が二つ、左に使いたい物が二つなんて事であったならば目も当てられません。
幸いにして、広がり方向にも左右のスピーカーのマッチングが取れております。
それにしても最近のB&W社のスピーカーの完成度には目を見張るものがあります。
特にスピーカーユニットのエネルギーの方向性の管理については完璧です。
低・中・高の3つのユニットが一つに解け合うように出来ているのです。
この製造管理には頭が下がります。
以上のような点を指摘させて頂きながらセッティングに入ります。先ずはいつでも元通りの音に戻せるように、綿密にスピーカーの位置を計測した上でメモしておきます。802にはもう既に専用のインシュレーターであるRK-BWがY.Iさんの手によって履かされてあります。これを一旦外して加速度組み立てを施します。インシュレーターとネジをそれぞれ音抜けの良い順番に組み替えるのです。
またご覧のように、キャップボルトとナイアガラ専用マイクロベースのマッチングをチェックした上で「ナイアガラ」にも加速度組み立てを行います。これで一応準備完了です。後はサウンド・ステーションをスピーカーのベースに用意してやれば強力な音質グレードアップが図れるはずです。
座布団をサウンド・ステーションの上に敷き、その上にスピーカーを半分載せた状態で持ち上げ気味に滑らしながら大体の位置まで動かします。次は後ろを少し浮かしてインシュレーターを入れます。後は斜め後方にスピーカーを傾けて内側と外側にインシュレーターのオスを入れて完了です。
NIAGARAの加速度組立の様子
さて、これから実際に音を出して聴くのですが、
今日の部屋は床が畳ですからどんな環境よりも
効果の上がり方が顕著な筈です。
とにかくラフに置いただけで細かな位置決めなどは
一切しておりませんが、
最初に出て来た音といったら先ほどとはまるで別ものです。
言い古された言葉ですが、「音に命が宿る」としか表現が見当たりません。
更に細かくスピーカーの位置決めを追い込んでいくのですが、ちょっと動かしただけで音の変化が手に取るように判断出来るのです。それは取りも直さず、ディスクの音楽情報を存分に引き出せている事に他ありません。
ホルストの惑星を聴いて、Y.Iさんはこう仰る・・・。
『ピアニシモに何とも言えない魅力が出てきました』。
『この楽章は今まで飛ばして聴いていたのです、もったいない事をしていたものです・・・!』。
部屋にはご自分が日曜大工で作った畳2枚分ぐらいはありそうなCDラックがあります。そこにはビッシリとCDが埋まっています。今日を機に、これら全てが生まれ変わるのですからY.Iさんのこれからの楽しみは尽きないでしょう。
ピアニシモの魅力
----- Original Message -----
From: Y.I
To:
info@rosenkranz-jp.com
Sent: Monday, March 15, 2004 1:44 AM
Subject: ピアニシモの魅力
貝崎静雄 様
こんばんは。
先日は拙宅へわざわざお越し下さいまして、
本当にありがとうございました。
「ナイアガラ」と「サウンドステーション」をセッティングしていただいて以来、
これまでとは全く異次元の、ただならぬ音楽世界が広がるようになり、
低音がどうとか、高音がどうとか、もはやそんな話題などどうでも良くなりました。
それよりも、ピアニシモの魅力です。
それも、クライマックスに達した後の弱まって消え行くようなピアニシモ。
こと、クラシック音楽について言えば、無駄な一音は一つも存在しないのですね。
思えばクリニック&セッティングの時は、ただただ「すごい」としか感想が言えなかった自分なのですが、
2週間余りたった最近になっても感想をどう述べてよいやら、まだよく分かりません。
ただ、父が言うことには、感度があまりにも高すぎて、
昔のレコード音源を入れて作ったCD−Rをかけると、
針のスクラッチノイズまで増幅されてちょっと聞き苦しいところもある、ということでした。
以前はまだ「ごまかし」があったから、針音がそれほど目立たなかったようです。
Y.I
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